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水亭の真白き障子冬紅葉
蒲の穂の身を反らしつつ水鏡
堰が隔てて名園の鴨の恋
寒禽の絹引き裂きしごとき声
真っ白な鳩の日向や桃青忌
おほかたは栗鼠食みこぼす木の実かな
蜘蛛猿の揉めを遠目に日向ぼこ
白梟思案の首をまはしけり
姫神の袖ひるがへし神渡し
蕎麦を刈る昔も今も城下町
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       蕎麦刈

    蕎麦を刈るかかる真昼のかそけさに  篠田悌二郎

   「ホトトギス新歳時記」に、
   高冷地などの夏蕎麦は七月ごろに花が咲いて初秋に刈るが、一般に平地では秋蕎麦といって九月ごろに花が咲いて晩秋から初秋に刈り取る。秋蕎麦は粒が大きくて粉量が多いので、蕎麦といえばふつうこれをいう。黒褐色に熟した実は落ちやすいので、雨の後や朝露の乾かないうちに鎌で刈り取ったり手で引いたりする。茎は紅く柔らかいのでさらさらと軽い音を立てて刈られる。その蕎麦は組木に掛けたりして干し、脱穀機や竿などで叩いて実を落とす。
  とある。
   ソバの語源は、ソバの果実に三つの稜があり、ムギと対比するとその点が大きく異なるので、古くはソバムギとよばれた。(「倭名類聚鈔」「本草和名」)。命名からして、その渡来はムギより遅い。徳島県の祖谷など山間地方では「そば米」がつくられている。ソバの果実を煮て、数日間干し、脱粒した一種の糒で、ハレの日の雑炊や吸い物などに使われる。中国原産だが、現存する中国最古の農書「斉民要術」(六世紀)には、蕎麦が巻頭雑説に取り上げられているにすぎず、本文には記載がない。南北朝時代にはまだ普及していなかったと考えられる。

   さて、落語に「蕎麦の殿様」がある。
   易にこった殿様、誰彼を問わずつかまえては人相をみるので、家来たちがそばへ寄りつかなくなった。易がひまになってきたある日、御親戚でそば職人がそばを打つのを御覧になって、大変感心し、帰るとさっそく家来を集めてそばを打ったが、そばともそばがきともつかないものができあがる。無理におかわりをして食べた家来たちは、夜っぴて便所通い。翌朝青ざめて御殿へ出ると、またそば攻めにあって、屋敷じゅう病人だらけ。御意見番に話をすると、捨てておけないというので、殿様に意見をしてやめさせたが、ほっと一息つく間もなく・・・

   刈り伏せし蕎麦に夕日の紅のこる  大堀 柊花

  蕎麦刈(そばかり)稜(りょう)祖谷(いや)糒(ほしい)斉民(せいみん)
  倭名類聚鈔(わみょうるいじゅうしょう)本草和名(ほんぞうわみょう)

   鮓

    鮓おしてしばし淋しきこころかな  蕪村

    「ホトトギス新歳時記」に、
    鮓には圧鮓、握鮓などのほか種類が多い。鮓を夏の季題とするのは、漬込鮓がもっとも早く熟れる季節ということであろう。鮓は古くは魚肉の保存法であって、酸味を帯びた魚だけを食べたが、のちに米も一緒に食べる飯鮓が一般になった。早圧鮓、早鮓は一夜鮓といって速成に作ったもの、鮓圧す、鮓漬る、鮓熟る、鮓の石、鮓桶などは圧鮓の場合に使う物やその言葉である。鮨。鮎鮓。鯖鮓。鮒鮓。五目鮓。ちらしずし。鮓の宿。
   とある。
    中国の鮓・鮨の類は二千年以前からあり、しだいに飯を加えて漬け込むようになったが、こうした「なれずし」の保存法は東南アジアの米作民にかなり広く行われている。日本への伝来もおそらく米と同時で、かなり早い時期であったと思われる。
    古い伝統をもつ「なれずし」は各地に残っている。釣瓶ずしは大和下市(奈良県
吉野町)の名産で、吉野川でとれた鮎を釣瓶型の曲物に入れてつくる。歌舞伎「義




経千本桜」にも登場し、平惟盛が鮓屋の手代弥助の仮名で潜んだという筋書きから、いまでも鮓の異名を「弥助」という所がある。

    さて、歌舞伎「義経千本桜」(武田出雲 三好松洛 並木千柳合作 延享四初)に「すし屋」がある。
    「すし屋」の惣領息子いがみの権太は勘当の身ながら親父の留守の家に来て、母親から金をせびりとる。そこへ首を抱えた弥左衛門が戻ってくる。あわてた権太は空の鮓桶に金を隠して奥へ忍んだ。弥左衛門も別の鮓桶に首を隠した。娘のお里は惟盛と知らずに弥助に恋し、すでに深い仲。親も祝言させると言い、浮き浮きしている。そこへ若葉内侍親子が宿を求めて逃げこんで来た。お里は高貴の人に及ばぬ恋をしてしまった身を嘆くが惟盛らを隣村へ逃がす。

    紅しやうが花と散らして鮓の桶  大堀 柊花

   鮓(すし)鮨(すし)圧鮓(おしずし)握鮓(にぎりずし)熟れる(なれる)
   早圧(はやおし)漬る(つくる)熟る(なる)釣瓶(つるべ)
   大和下市(やまとしもいち)曲物(まげもの)権太(ごんた)

人立てば雲隠れして田の金魚
金魚にも遊び心や浮き沈み
頭でっかち金魚にもありしかな
ときをりはでんぐり返りして金魚
オランダてふ賢さうなる金魚浮く
値踏みなどなき江戸錦てふ金魚
金魚田の番犬として老いけらし
まぼろしの蝶を舞はせて著莪の花 
帰る山なくて鳴きけり夏鶯
軋むたび思考とぎれて籐寝椅子


       蛇穴を出づ

    蛇穴を出て見れば周の天下なり  高濱 虚子

   「ホトトギス新歳時記」に、
   冬の間、土の中に眠っていた蛇も春暖とともに穴を出て姿を現す。蛇は気味の悪いものだが、穴を出たばかりの蛇をちょっと見かけるのはそう悪いものではない。
  とある。
   ヘビのように人間と特殊な関係をもっている動物は少ない。日本でも古代から、山の神、水の神、雷神としてのヘビの信仰が伝えられており、記紀には八岐大蛇についての物語や、大和の御諸山の祭神大物主命が蛇体であったことが記されている。
   「倭名鈔」に、ヘミ、クチナハ、ヲロチ、カラスへミ、ニシキへミなどの異名が掲げられているように、古くはヘミとよばれた。
   ヘビについての昔話や伝説は全国各地に語られている。昔話には、ヘビが人間の婿あるいは女房の姿となって結婚し、最後に幸福に終るという「蛇婿入り」「蛇女房」などがあり、和歌山県の道成寺縁起として知られる「安珍清姫」のように、人が執念のあげく蛇体になるという伝説もある。

   さて、随筆に「幽草」(長谷川時雨)がある。
   母は大変な蛇ぎらいだった。先日も、母が御飯を食べてゐる前で話をしてゐると、給仕の少女がアッと叫んだ。叫ばなければ気がつかなかったのであらうに、見ると庭前を、軒の楓からおちた小蛇が紫陽花の葉かげに隠れ込むところであった。母は大騒ぎで男たちの名を呼んだが、誰も答へるものがなかったので、私に細いステッキを渡した。好い気持ではなかったが、母の気持ちをやすめるため、下におりた私は、冷汗を掻き、舌がすっぱかった。紫陽花の葉をわけて見ると、小蛇は此方から向うの枝へ渡ってゐたが、するするといかにも柔かく自然に、なんの苦渋もなしにー蛇といふ生物が逃げようとして自分の体をひきずるのだといふふうには、とても思へないように、尾の方が向うの枝へ移って巻付いた。その微妙さー桶の中で洗ってゐる素麺が指の間を辷って行くようなーそんなものではなかった。生きてゐて、しかもなめらかに、寧ろ音楽的にとも言へる気がした。

   蛇穴を出てまぎれなき女人かな  大堀 柊花
  
  八岐大蛇(やまたのおろち)御諸(みもろ)大物主命(おおものぬしのみこと
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