俳句
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青梅雨や都庁になびくビルの群
福都心展望室の梅雨灯
新宿のビルの谷間の青時雨
見下ろして新緑に目を休ませる
展望の新宿御苑梅雨深し
深梅雨や富士見ゆるのはこのあたり
高層の玻璃曇らせて梅雨荒るる
梅雨の傘つらねてビルの谷間かな
蜈蚣出づ毘沙門堂の暗闇に
著莪咲いて日差やさしと思ひけり
福都心展望室の梅雨灯
新宿のビルの谷間の青時雨
見下ろして新緑に目を休ませる
展望の新宿御苑梅雨深し
深梅雨や富士見ゆるのはこのあたり
高層の玻璃曇らせて梅雨荒るる
梅雨の傘つらねてビルの谷間かな
蜈蚣出づ毘沙門堂の暗闇に
著莪咲いて日差やさしと思ひけり
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蜈蚣
罪を負ふごとく百足の逃げ惑ふ 百合山羽公
「俳諧歳時記「に
数多く足を持てるより百足とも書かれる虫、多く石垣の間、樹の根、床下など陰湿
の所に棲み、体扁平にして赤褐色、数十の環節より成り、長さは五六寸にも達するも
のあり。一対の髭と岐れたる尾をもち、脚は二十対、その第一対は鈎型になりて毒を
持つ。これに刺さるれば疼痛甚し。口器発達して虫類を捕食する。
とある。
ムカデの毒は酸性で、大形のトビズムカデやアオズムカデに噛まれると、かなり激
しい痛みがあり、患部が腫れる。ときに、リンパ腺炎をおこし、発熱することもある。
しかし、人命にかかわることはまずない。毒成分としてヒスタミンやセロトニンが検
出されており、激しい痛みはセロトニンによると考えられ治療には薄いアンモニア水
を塗布するのがよい。
日本では蛇が百足を恐れるという伝えが古くからあり、秋田県には、五寸の百足が
五尺の蛇をとるという諺がある。
さて、御伽草子の「俵藤太物語」を紹介する。朱雀天皇の時代のある時、近江の国
瀬田の唐橋に長さ二十丈もの大蛇が横たわるということがあった。人々は怖れて橋を
渡ることができなかったが、そこに出くわした藤太は、少しも怖れることなく大蛇
の背を踏みつけて橋を渡ってしまう。その夜、一人の若く美しい女人が藤太を訪ねて
きて「私は昼間お会いした大蛇で、琵琶湖に棲む龍神の一族の者ですが、三上山の百
足に苦しめられ困っています。あなたを見込んで、百足退治をお願いしたい」藤太は
快諾し、先祖より受け継いだ名剣と重藤の弓に三本の大矢を携えて三上山に臨むと、
稲光とともに、二、三千本余りの脚のすべてに松明を掲げて、三上山を七巻き半する
ほどの大百足が現れた。藤太は二本の矢を射るが、大百足には通じない。そこで矢尻
に唾を吐きかけ、南無八幡大菩薩と祈念して射ると今度は通じ、大百足を退治するこ
とができた。
漆黒の梁よりはらと大蜈蚣 大堀柊花
俵藤太物語(たわらのとうたものがたり)御伽草子(おとぎぞうし
罪を負ふごとく百足の逃げ惑ふ 百合山羽公
「俳諧歳時記「に
数多く足を持てるより百足とも書かれる虫、多く石垣の間、樹の根、床下など陰湿
の所に棲み、体扁平にして赤褐色、数十の環節より成り、長さは五六寸にも達するも
のあり。一対の髭と岐れたる尾をもち、脚は二十対、その第一対は鈎型になりて毒を
持つ。これに刺さるれば疼痛甚し。口器発達して虫類を捕食する。
とある。
ムカデの毒は酸性で、大形のトビズムカデやアオズムカデに噛まれると、かなり激
しい痛みがあり、患部が腫れる。ときに、リンパ腺炎をおこし、発熱することもある。
しかし、人命にかかわることはまずない。毒成分としてヒスタミンやセロトニンが検
出されており、激しい痛みはセロトニンによると考えられ治療には薄いアンモニア水
を塗布するのがよい。
日本では蛇が百足を恐れるという伝えが古くからあり、秋田県には、五寸の百足が
五尺の蛇をとるという諺がある。
さて、御伽草子の「俵藤太物語」を紹介する。朱雀天皇の時代のある時、近江の国
瀬田の唐橋に長さ二十丈もの大蛇が横たわるということがあった。人々は怖れて橋を
渡ることができなかったが、そこに出くわした藤太は、少しも怖れることなく大蛇
の背を踏みつけて橋を渡ってしまう。その夜、一人の若く美しい女人が藤太を訪ねて
きて「私は昼間お会いした大蛇で、琵琶湖に棲む龍神の一族の者ですが、三上山の百
足に苦しめられ困っています。あなたを見込んで、百足退治をお願いしたい」藤太は
快諾し、先祖より受け継いだ名剣と重藤の弓に三本の大矢を携えて三上山に臨むと、
稲光とともに、二、三千本余りの脚のすべてに松明を掲げて、三上山を七巻き半する
ほどの大百足が現れた。藤太は二本の矢を射るが、大百足には通じない。そこで矢尻
に唾を吐きかけ、南無八幡大菩薩と祈念して射ると今度は通じ、大百足を退治するこ
とができた。
漆黒の梁よりはらと大蜈蚣 大堀柊花
俵藤太物語(たわらのとうたものがたり)御伽草子(おとぎぞうし
扇屋の扇全開して祭
芍薬を活けて手狭な祭店
路地の恋仲見世の恋祭どき
藍染めの半纏似合ふ祭髪
たぬき路地ぬけて涼しき人力車
新緑の伝通院へひと入れず
山門の朱にうち映えて夏柳
もつ鍋のぐつぐつ煮立つ祭かな
このごろは忘れやすくて時計草
草笛の遠のいてより水の音
芍薬を活けて手狭な祭店
路地の恋仲見世の恋祭どき
藍染めの半纏似合ふ祭髪
たぬき路地ぬけて涼しき人力車
新緑の伝通院へひと入れず
山門の朱にうち映えて夏柳
もつ鍋のぐつぐつ煮立つ祭かな
このごろは忘れやすくて時計草
草笛の遠のいてより水の音
時計草
時計草夜は眠るとは知らざりき 前内 木耳
「俳諧歳時記」に、
蔓性の多年草、巻鬚ありて他物に絡みて生ず、葉は常緑にて深く掌状に裂け、葉柄の基に托葉をもつ、夏の頃紅色に紫暈のある大形の美花を開く、形稍時計の盤面に似たるより名ある所、此花日中に開きて夜間は閉づ、花の後橙色の実を結ぶ。一名「ぼろんかづら」。
とある。
時計草はトケイソウ科の常緑つる草。夏から秋、径七~八センチの花を開く。花弁と萼片は淡紅色を帯び、副花冠は紫色が蛇の目状に入る。糸状の副花冠と花弁と萼片を時計の文字盤に見立てて名がついた。ブラジル、アルゼンチン原産で、享保八年(一七二三)にオランダから渡来したといわれる。耐寒性が強く関東地方以西では露地で
越冬する。
さて、随筆に「時計草」(澁澤龍彦)がある。
十六世紀の末ごろ、初めて南米に渡ったスペインの伝道師たちも、夏の日を浴びて咲いている珍奇なトケイソウの花を見て、ミニアチュール的想像力をほしいままにしたのではないだろうか。彼らはこの花をパッションフラワー、すなわち「キリスト受難の花」と名づけたのである。
スペインの伝道師たちにならって、ミニアチュ―ル的想像力をもってトケイソウの花を描写するとすれば、次のようになるであろう。
「じっと眺めていると、トケイソウの裂けた葉は刑吏の槍に、のびた巻きひげは鞭に見えてきた。花の中心にそそり立つ子房の柱は十字架に、三本の花柱は、キリストの両手両足に打ちこんだ三本の釘にそっくりであった。五つの葯はキリストの五つの傷痕、雄蕊はかなづち、副冠は茨の冠、萼は円光、花の白い部分は純潔、そして青い部分は天国にほかならなかった。五枚の萼片と五枚の花弁とを合わせた花の周辺の十枚は、ペテロとユダをのぞく十人の使徒を思わせた」
時計草雄しべと雌しべ交はらず 大堀 柊花
時計草(とけいさう)萼片(がくへん)葯(やく)刑吏(けいり)
時計草夜は眠るとは知らざりき 前内 木耳
「俳諧歳時記」に、
蔓性の多年草、巻鬚ありて他物に絡みて生ず、葉は常緑にて深く掌状に裂け、葉柄の基に托葉をもつ、夏の頃紅色に紫暈のある大形の美花を開く、形稍時計の盤面に似たるより名ある所、此花日中に開きて夜間は閉づ、花の後橙色の実を結ぶ。一名「ぼろんかづら」。
とある。
時計草はトケイソウ科の常緑つる草。夏から秋、径七~八センチの花を開く。花弁と萼片は淡紅色を帯び、副花冠は紫色が蛇の目状に入る。糸状の副花冠と花弁と萼片を時計の文字盤に見立てて名がついた。ブラジル、アルゼンチン原産で、享保八年(一七二三)にオランダから渡来したといわれる。耐寒性が強く関東地方以西では露地で
越冬する。
さて、随筆に「時計草」(澁澤龍彦)がある。
十六世紀の末ごろ、初めて南米に渡ったスペインの伝道師たちも、夏の日を浴びて咲いている珍奇なトケイソウの花を見て、ミニアチュール的想像力をほしいままにしたのではないだろうか。彼らはこの花をパッションフラワー、すなわち「キリスト受難の花」と名づけたのである。
スペインの伝道師たちにならって、ミニアチュ―ル的想像力をもってトケイソウの花を描写するとすれば、次のようになるであろう。
「じっと眺めていると、トケイソウの裂けた葉は刑吏の槍に、のびた巻きひげは鞭に見えてきた。花の中心にそそり立つ子房の柱は十字架に、三本の花柱は、キリストの両手両足に打ちこんだ三本の釘にそっくりであった。五つの葯はキリストの五つの傷痕、雄蕊はかなづち、副冠は茨の冠、萼は円光、花の白い部分は純潔、そして青い部分は天国にほかならなかった。五枚の萼片と五枚の花弁とを合わせた花の周辺の十枚は、ペテロとユダをのぞく十人の使徒を思わせた」
時計草雄しべと雌しべ交はらず 大堀 柊花
時計草(とけいさう)萼片(がくへん)葯(やく)刑吏(けいり)
江東の春や水路に橋いくつ
橋の数かぞへそびれて水の春
川風に桜蕊降る渡し跡
水門の水せめぎ合ふ養花天
鋳物師の住みし川すぢ日永かな
芽柳の水にとどかず水の町
暖かや水路と水路まじはりて
海鳥の来ている水路遅桜
足で漕ぐボートゆきかひ夏近し
放牧の馬を遠くに熊谷草
橋の数かぞへそびれて水の春
川風に桜蕊降る渡し跡
水門の水せめぎ合ふ養花天
鋳物師の住みし川すぢ日永かな
芽柳の水にとどかず水の町
暖かや水路と水路まじはりて
海鳥の来ている水路遅桜
足で漕ぐボートゆきかひ夏近し
放牧の馬を遠くに熊谷草