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施餓鬼

   雛僧の下駄並べゐる施餓鬼かな   星野 立子

   「俳諧歳時記」に
   陰暦七月、各宗寺院にて之を修す。中央に壇を設け種々の供物を供へ五色、或は
  白色の幡に五如来または七如来の名号を書きて立つ。寺僧壇上の於いて読経し、無縁
  の亡者の霊を弔ひ施食の法を行ふ。水死の人を弔ふため河岸又は水上に船を浮べて修
  するを川施餓鬼・船施餓鬼 と言う。
  とある。
   施餓鬼は悪道に堕ちて飢えに苦しむ餓鬼に飲食物を施すこと。施餓鬼会の略で水陸
  会ともいう。餓鬼はサンスクリット語プレータの訳で、「死者」または「死者霊」を原
  義とし、のちには子孫が絶えて供養がなされず、つねに飢餓に苦しむ亡霊の意味があ
  る。仏教では吝貪で布施せぬ者が死後、餓鬼に生まれ、飢渇に苦しむとされ、彼らの
  住む餓鬼世界は六道輪廻の一となった。中国では、飢餓に悩む鬼神や餓鬼に飲食を施
  す餓鬼供養の法会が発展し、また、「盂蘭盆経」の目連救母伝説と合わせて悪道に堕ち
  て苦しむ先祖供養のための法会ともされた。
   施餓鬼会は最初真言宗で、鎌倉期以後は浄土真宗を除く各派で行われるようになり、
  今日に至っている。

   さて、釈迦の十大弟子の一人、目犍連(モツガラーナ)は、マガダの国、ラージャ
  ガハ市外のバラモンの子に生まれた。彼は隣村のバラモンの子、舎利弗(サーリブッ
  タ)と親交があり、始めは共にサンジャの弟子であったが、後に釈尊の弟子となった。
  教団の上足で、神通第一といわれたが、ラージャガハ市内を行乞中に、仏教教団を嫉
  む執杖バラモンに襲撃されて倒れた。餓鬼道の堕ちた母を救うために、自恣の日に宗
  僧を供養したと伝え、盂蘭盆会の起源とされた。
   増谷文雄著「ブッダ・ゴ―タマの弟子たち」には、目犍連(モツガラーナ)と舎利
  弗(サーリブッタ)の親交を主としながら、その人となりが記されている。

   鉄橋の影をおどろに川施餓鬼   大堀 柊花

   吝貪(りんどん)執杖(しゅうじょう)自恣(じし)
 
  

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琉球の朝顔といふ海の色
朝顔の喉のあたりに紅ほのと
行灯を抽んでて朝顔の蔓
朝顔の白を淋しと思ひ過ぐ
柿渋にして朝顔の団十郎
売込みも下町育ち朝顔市
半纏の胸のくぼみに玉の汗
香煙に咽せしか青き石榴の実
睡蓮に葉畳といふ離れ島
涼しさや暮らし大方貧しくて
  睡蓮

   睡蓮の花の布石のゆるがざる   木内 彰志

   「俳諧歳時記に
   池沼に生ずる多年生の水草。根茎は水泥底の土にありて多数の葉を水面に浮かぶ。
  葉は円く基部は深く裂けて箭形をなす。表は新緑色なれど裏は淡紅色なり。夏日、泥
  中の地下茎より花梗を長く出して、大きさ一二寸より三四寸の蓮に似て清秀なる白花
  を開く。この花 朝に開き夕に閉づるより睡蓮と称せらる。花の後実を結び、熟すれ
  ば自ら水中に沈むる作用をなす。
  とある。
   睡蓮はスイレン科スイレン属の水生植物。ギリシャ・ローマ神話にある女神ニンフ
  に由来する。
   古代エジプトで神聖視され、スイレンの花冠をかぶったオシリスの神は復活のシン
  ボルであった。古代エジプトの聖なる色をした青いスイレンは第四王朝(前二六〇〇
  ~前二四五〇)の神への捧げ物のなかに描かれ、第十九王朝のラムセス二世の柩から
  は、五十センチの花茎のついた青いスイレンと、花冠や花輪に使われた多数の白いス
  イレンが見出された。日常生活でも、水鉢に花が活けられ、女性は渡されたスイレン
  の花を手にして宴席に臨んだ。スイレンは睡蓮の意味で、朝開花し、午後に花を閉じ
  るのを、眠ると見立て名づけられたが、その開閉時間は品種によってまちまちである。

   さて、ペローの童話集「過ぎし昔の物語ならびに教訓」の中の一編「眠れる森の
  美女」がある。
   悪い仙女の呪いで百年の眠りについた姫が、王子の愛で呪いが解けて眠りから覚め、
  二人はめでたく結婚、しかし王子の母は実は食人鬼で、王子と姫との愛児オーロール
  (暁姫)、ジュ―ル(日の子)を食べようとするが、結局、怪物は退治されて真の幸福
  がおとずれる
   王子や英雄の到来で眠っている姫が目を覚ますテーマは、ヨーロッパ古来の民間
  伝承に豊富にあり、洞窟や城の中で長らく眠るという話も古代・中世の伝説に多い。

   睡蓮のすでに眠りに入りし紅   大堀 柊花
   蝸牛

   文七にふまるな庭のかたつぶり   其角

   「俳諧歳時記」に
   夏の日、湿気に乗じて草木に登り、雨露を舐め、新葉を食う。晴るれば葉の蔭に隠
  るる。渦巻形の殻を負うて這へる虫。殻は、はじき貝に似て色淡黄なるを普通とすれ
  ど、種々あり。行く時は殻を負う。身はなめくじに似て角の如き眼を出して振り歩く。
  とある。
  「和漢三才図会」に
   形は小さい田螺に似ていて白色。頭の形は蛞蝓に似ている。ただし背に殻を負うて
  いる。頭に四つの黒い角があり、進むときは頭をだす。驚いたときは首、尾ともにち
  じんで殻の中に入る。角があって牛のようなので、名前に牛の字がついている。
   世界に約二万種が棲み、学術上ではマイマイというがこれは「巻き巻き」の意味で
  ある。また、でんでんむしの異名もあるが、これは「角よ出い出い」の意の「ででむ
  むし」から転じたといわれる。


   さて、三遊亭円朝の人情噺を榎戸賢治が脚色した「人情噺文七元結」(明治三十五初)
  がある。
   本所割下水に住む左官の長兵衛は、腕はいいが博打が好き。今日も裸同然の姿に
  なって貧乏長屋に帰ってくると女房のお兼が、娘お久がいなくなったと騒いでいる。
  そこへ吉原の大店角海老から使いが来て、お久が一人で女将を訪ねてきたという。着
  るものもなく女房の着物をはぎとって身につけた長兵衛が、使いとともに角海老へ行
  くと、お久がしょんぼりと坐っていた。さすがの長兵衛もお久の孝心に涙を流し、酒
  と博打を絶つと約束して、女将は長兵衛に百両の金を貸す。その帰りに長兵衛は大川
  端で主家の金百両をなくして身投げしようとしていた手代文七に出会い、大切な百両
  をやってしまう。家に帰って大騒ぎのところへ、文七が主人を同道、昨夜の礼を言い
  に来た。失ったと思った金は、その家へ忘れて来たのであった。主人はお久を請け出
  し文七と夫婦にしたいという。

   ねむたくて殻を曇らす蝸牛   鷹羽 狩行

  大店(おおだな)角海老(かどえび)

紫陽花の十重に二十重にご神体
まなびやを仰ぐ紫陽花山の上
紫陽花の白にかこまれ神輿倉
紫陽花の白の淋しさわが淋しさ
すでに七変化のきざし雨のあと
孫文の碑と真白な額の花
みたらしにあぢさゐ寺の水中花
紫陽花の紅さほどには売れてゐず
のっそりと這ふが身上かたつむり
一八の白のほかなし浄土寺
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