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川筋に芭蕉庵あり法師蝉
ゆきあひは星のみぞ知る文月かな
まつ暗な山がうしろに盆灯籠
おつまみの絹も木綿も新豆腐
夕風にいま生酔ひの酔芙蓉
水鉢の水のしづけさ初嵐
この世での逢瀬みじかし稲の花
今日も来る子連れの雀終戦忌
思ひ出すままに文書く秋思かな
丹波越えして拾ひたる虚栗
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  法師蝉

    法師蝉疲るるばかり読みふけり  星野 立子

   「ホトトギス新歳時記」に、
   秋風とともに鳴きはじめる。名は鳴き声からきていて、地方によっていろいろに聞きとられているが、はじめ、ジュツジュツジュツといい、つぎに、オシーツクツクと何度もゆっくり繰り返し、最後に、ツクツクボーシと三回ぐらい鳴き、ジーと尾を引くように鳴きおさめる。「筑紫恋し」と鳴くという説もある。つくづくぼふし。法師蝉。
  とある。また、
   「和漢三才図会」に、
   蟪蛄は思うに、蝉より小さくてほぼ円く、その頭は褐色で身および羽は浅青色。鳴き声は久豆久豆法師といっているように聞こえる。それでこう名づける。
  とある。
   ツクツクボウシは昆虫鋼半翅目同翅亜目セミ科に属する昆虫。体長三十ミリ内外の中形のセミで、体は細長い。胸背には、黒色の地に緑褐色の班紋がある。翅は透明。七~九月に出現するが八月後半に多く、北海道から九州にかけて分布する。オオシマゼミ、クロイワックック、イワサキゼミ、オガサワラゼミの近縁種が知られる。
  
   さて、能の曲目に「放下僧」がある。
   下野国の住人牧野小次郎(ツレ)は父の敵、利根の信俊を討つべく兄(シテ)の助勢を頼みに行く。兄は出家の身であるため一旦は断るが、小次郎の説得に折れて、結局協力することになり、兄弟は当時流行の放下と放下僧に身をやつして故郷を出立する。一方夢見の悪い信俊(ワキ)は瀬戸の三島明神に参詣の途中、二人の放下に会い、それとは知らずに二人との禅問答にうち興じる。家来(アイ)の失言でそれと気づいていた兄は、はやる弟を抑え、曲舞や鞨鼓・こきりこなどの芸づくしで相手を油断させ、隙に乗じて本懐を遂げる。放下の雑芸の面白さを中心にした曲である。
   放下とは、近世・中世に行われた巷間芸能の一つで、僧形の者が多かったので放下僧とも呼んだ。

   をちが鳴きそめこちらにも法師蝉  大堀 柊花

  法師蝉(つくつくぼふし)法師蝉(ほふしぜみ)蟪蛄(くつくつぼうし)
  放下僧(ほうかそう)下野国(しもつけのくに)曲舞(くせまい)鞨鼓(かっこ)
龍神のおどろくほどに水澄めり
深川の木遣どよもす菊日和
横綱の碑へぎんなんの大飛礫
深川は気のおけぬ町とろろ汁
暗き灯を二間通してとろろ汁
平蔵の寄りさうな店とろろ汁
秋晴や 船番所まで水に添ひ
渡し待つ矢切の野菊日和かな
嬉しさのつい声に出て湿地飯
稲雀逃げてそれほど憎からず
    野菊

    其人を恋ひつつ行けば野菊濃し  高濱虚子

   「栞草」に、
   野原に自然と生ずる菊を云也。花・葉ともに菊に似て小也。褐紫の花多し。稀に黄色ありとぞ。是上古より本邦にある菊也。小毒あり、食ふべからずと云へり。今人、家に植て翫ぶものは唐土より来る。上古は野菊の外なし。
  とある。
   野菊は特定の種を示すのではなく、キク科のノコンギク、ヤマシロギク、イナカギクなどのシオン属、ヨメナやユウガギクのヨメナ属、ミヤマヨメナ属などの一般的通称。夏から秋に開花し、頭花がキク属に似て、山野にみられるので野菊という。
   伊藤左千夫の「野菊の墓」は、舞台が千葉県矢切で、墓地などに生える点を考えると、カントウヨメナである可能性が高い。
   ヨメナはオハギの名で、「出雲国風土記」、ウハギで「万葉集」に載る。野菊の名は茶会の記録に早く登場するし、「天王寺屋会記 宗達茶湯日記 自会記」に、野菊を使ったと書かれている。千利休も野菊に注目し、秀吉が聚楽の茶会を開いたおり、野菊一枝を天目茶碗と鴨肩衝茶入との間に挟み、効果的に演出した。

   さて、伊藤左千夫の処女小説に「野菊の墓」がある。明治三十九年の「ホトトギス」に発表。
   千葉県の田舎の旧家に生まれ、小学校を出たばかりの政夫は、家事の手伝いに来た、二つ年上の民子という従妹とむつまじく遊んでいるうちに、周囲の者にあらぬうわさを立てられ、母からも注意せられて、かえって恋心を催すようになる。周囲の無理解から清純な恋が妨げられ、民子は嫁いで亡くなり、政夫は少女の愛していた野菊をその墓の周囲に植える。素朴な田園を背景にした牧歌的な純愛物語。
   この小説は木下恵介監督により「野菊の如き君なりき」の題名で映画化された。   左千夫の歌に「秋草のいづれはあれど露霜に 痩せし野菊の花をあはれむ」がある。

    一茎の野菊流るる矢切かな  大堀柊花
糸瓜棚明かりに据ゑて古机
レリーフの子規の横顔白芙蓉
白萩の枝奔放に子規の庭
草庵の庭を明るく鶉籠
秋扇しずかにつかふ子規の居間
しなやかに風押し戻し秋桜
菩提子の翅かろやかに善性寺
秋鯖や人にも旬といへるもの
美しき生々流転秋の雲
たっぷりと空を使ひて燕去ぬ
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