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時計草       

    時計草夜は眠るとは知らざりき  前内 木耳

   「俳諧歳時記」に、
   蔓性の多年草、巻鬚ありて他物に絡みて生ず、葉は常緑にて深く掌状に裂け、葉柄の基に托葉をもつ、夏の頃紅色に紫暈のある大形の美花を開く、形稍時計の盤面に似たるより名ある所、此花日中に開きて夜間は閉づ、花の後橙色の実を結ぶ。一名「ぼろんかづら」。
  とある。
   時計草はトケイソウ科の常緑つる草。夏から秋、径七~八センチの花を開く。花弁と萼片は淡紅色を帯び、副花冠は紫色が蛇の目状に入る。糸状の副花冠と花弁と萼片を時計の文字盤に見立てて名がついた。ブラジル、アルゼンチン原産で、享保八年(一七二三)にオランダから渡来したといわれる。耐寒性が強く関東地方以西では露地で
越冬する。

   さて、随筆に「時計草」(澁澤龍彦)がある。
   十六世紀の末ごろ、初めて南米に渡ったスペインの伝道師たちも、夏の日を浴びて咲いている珍奇なトケイソウの花を見て、ミニアチュール的想像力をほしいままにしたのではないだろうか。彼らはこの花をパッションフラワー、すなわち「キリスト受難の花」と名づけたのである。
   スペインの伝道師たちにならって、ミニアチュ―ル的想像力をもってトケイソウの花を描写するとすれば、次のようになるであろう。
   「じっと眺めていると、トケイソウの裂けた葉は刑吏の槍に、のびた巻きひげは鞭に見えてきた。花の中心にそそり立つ子房の柱は十字架に、三本の花柱は、キリストの両手両足に打ちこんだ三本の釘にそっくりであった。五つの葯はキリストの五つの傷痕、雄蕊はかなづち、副冠は茨の冠、萼は円光、花の白い部分は純潔、そして青い部分は天国にほかならなかった。五枚の萼片と五枚の花弁とを合わせた花の周辺の十枚は、ペテロとユダをのぞく十人の使徒を思わせた」

   時計草雄しべと雌しべ交はらず  大堀 柊花

  時計草(とけいさう)萼片(がくへん)葯(やく)刑吏(けいり)
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琉球の朝顔といふ海の色
朝顔の喉のあたりに紅ほのと
行灯を抽んでて朝顔の蔓
朝顔の白を淋しと思ひ過ぐ
柿渋にして朝顔の団十郎
売込みも下町育ち朝顔市
半纏の胸のくぼみに玉の汗
香煙に咽せしか青き石榴の実
睡蓮に葉畳といふ離れ島
涼しさや暮らし大方貧しくて
  睡蓮

   睡蓮の花の布石のゆるがざる   木内 彰志

   「俳諧歳時記に
   池沼に生ずる多年生の水草。根茎は水泥底の土にありて多数の葉を水面に浮かぶ。
  葉は円く基部は深く裂けて箭形をなす。表は新緑色なれど裏は淡紅色なり。夏日、泥
  中の地下茎より花梗を長く出して、大きさ一二寸より三四寸の蓮に似て清秀なる白花
  を開く。この花 朝に開き夕に閉づるより睡蓮と称せらる。花の後実を結び、熟すれ
  ば自ら水中に沈むる作用をなす。
  とある。
   睡蓮はスイレン科スイレン属の水生植物。ギリシャ・ローマ神話にある女神ニンフ
  に由来する。
   古代エジプトで神聖視され、スイレンの花冠をかぶったオシリスの神は復活のシン
  ボルであった。古代エジプトの聖なる色をした青いスイレンは第四王朝(前二六〇〇
  ~前二四五〇)の神への捧げ物のなかに描かれ、第十九王朝のラムセス二世の柩から
  は、五十センチの花茎のついた青いスイレンと、花冠や花輪に使われた多数の白いス
  イレンが見出された。日常生活でも、水鉢に花が活けられ、女性は渡されたスイレン
  の花を手にして宴席に臨んだ。スイレンは睡蓮の意味で、朝開花し、午後に花を閉じ
  るのを、眠ると見立て名づけられたが、その開閉時間は品種によってまちまちである。

   さて、ペローの童話集「過ぎし昔の物語ならびに教訓」の中の一編「眠れる森の
  美女」がある。
   悪い仙女の呪いで百年の眠りについた姫が、王子の愛で呪いが解けて眠りから覚め、
  二人はめでたく結婚、しかし王子の母は実は食人鬼で、王子と姫との愛児オーロール
  (暁姫)、ジュ―ル(日の子)を食べようとするが、結局、怪物は退治されて真の幸福
  がおとずれる
   王子や英雄の到来で眠っている姫が目を覚ますテーマは、ヨーロッパ古来の民間
  伝承に豊富にあり、洞窟や城の中で長らく眠るという話も古代・中世の伝説に多い。

   睡蓮のすでに眠りに入りし紅   大堀 柊花
   蝸牛

   文七にふまるな庭のかたつぶり   其角

   「俳諧歳時記」に
   夏の日、湿気に乗じて草木に登り、雨露を舐め、新葉を食う。晴るれば葉の蔭に隠
  るる。渦巻形の殻を負うて這へる虫。殻は、はじき貝に似て色淡黄なるを普通とすれ
  ど、種々あり。行く時は殻を負う。身はなめくじに似て角の如き眼を出して振り歩く。
  とある。
  「和漢三才図会」に
   形は小さい田螺に似ていて白色。頭の形は蛞蝓に似ている。ただし背に殻を負うて
  いる。頭に四つの黒い角があり、進むときは頭をだす。驚いたときは首、尾ともにち
  じんで殻の中に入る。角があって牛のようなので、名前に牛の字がついている。
   世界に約二万種が棲み、学術上ではマイマイというがこれは「巻き巻き」の意味で
  ある。また、でんでんむしの異名もあるが、これは「角よ出い出い」の意の「ででむ
  むし」から転じたといわれる。


   さて、三遊亭円朝の人情噺を榎戸賢治が脚色した「人情噺文七元結」(明治三十五初)
  がある。
   本所割下水に住む左官の長兵衛は、腕はいいが博打が好き。今日も裸同然の姿に
  なって貧乏長屋に帰ってくると女房のお兼が、娘お久がいなくなったと騒いでいる。
  そこへ吉原の大店角海老から使いが来て、お久が一人で女将を訪ねてきたという。着
  るものもなく女房の着物をはぎとって身につけた長兵衛が、使いとともに角海老へ行
  くと、お久がしょんぼりと坐っていた。さすがの長兵衛もお久の孝心に涙を流し、酒
  と博打を絶つと約束して、女将は長兵衛に百両の金を貸す。その帰りに長兵衛は大川
  端で主家の金百両をなくして身投げしようとしていた手代文七に出会い、大切な百両
  をやってしまう。家に帰って大騒ぎのところへ、文七が主人を同道、昨夜の礼を言い
  に来た。失ったと思った金は、その家へ忘れて来たのであった。主人はお久を請け出
  し文七と夫婦にしたいという。

   ねむたくて殻を曇らす蝸牛   鷹羽 狩行

  大店(おおだな)角海老(かどえび)

紫陽花の十重に二十重にご神体
まなびやを仰ぐ紫陽花山の上
紫陽花の白にかこまれ神輿倉
紫陽花の白の淋しさわが淋しさ
すでに七変化のきざし雨のあと
孫文の碑と真白な額の花
みたらしにあぢさゐ寺の水中花
紫陽花の紅さほどには売れてゐず
のっそりと這ふが身上かたつむり
一八の白のほかなし浄土寺
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