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   紫雲英

  秋篠はげんげの畦に仏かな  高濱虚子

 「俳諧歳時記」に、
  支那原産の豆科の越年生草本で、田野に多く自生する。茎は地に臥して広がり、葉は羽状複葉をなして互生し、四月頃紅紫色の蝶形花を繖形に配列し輪状をなすが、稀に変種の白色の花がある。果実は三角状の莢をなし、熟すると黒くなる。花形がやや蓮花に似てゐるために俗に蓮華草とも謂う。
 とある。
  蓮華草はマメ科の二年草。中国原産。排水した水田に緑肥用に栽培されるが、野生化もしている。ゲンゲ、レンゲともいう。秋に発芽し、茎は地を這い、分枝し、春に高さ
 十~三十㌢に伸び立って、花をつける。若葉はゆでたり油炒めにして食べる。また全草
 を干してとっておき、煎じて飲み、利尿、解熱、リウマチなどの民間薬とする。
  レンゲの名は「大和本草」(一七〇九)に「京畿の小児これをレンゲバナと言ふ」とみえ、子の呼び名から由来した。水田緑肥は江戸後期からである。

  さて、北村透谷に、「蓮華草」がある。一八九二年に「女学雑誌」に書いたもの。詩というより随想。一部を紹介する。
  友と連立ちて広尾に遊びたるは、「一村雨」を読みたる同じ日なり。野面を見渡すかぎり、美しきむしろを布きつめたる花の心は、さていかに。誰が為めに?造花は汝にありて至美をあらはすに、汝は虚心にて野にかがやくか、または摘む人の手を招き寄て、自ら散るを早むるか。摘む人に罪ありと言はば、摘まるる者にも罪はあるべし。兎角、野の奥の人の浮かれ来ぬあたりに咲ける花やめでたかるべし。
  「一村雨」は、三宅花圃作。

   紫雲英田を風過ぎるとき桃色に  大堀柊花

  紫雲英(げんげ)大和本草(やまとほんぞう)京畿(けいき)謂う(いう)
   
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瓔珞のさゆれもなくて涅槃変
百獣の王も尾を巻き涅槃哭く
亀兎すこし離れて涅槃哭く
白象の牙をあらはに涅槃哭く
法灯の消えむばかりに涅槃哭く
堂裏の隠れ貌なる蕗の薹
白梅のほつほつ咲いて芝の鐘
神明の練塀古りて緋桃咲く
一案のなほ左右して春浅し
鱵てふ嫋やかにして針を持つ

    鱵

    鱵見る浮桟橋に手をついて  西山 小鼓子

   「和漢三才図会」に、
   真鱵魚と名づけるものは身は七、八寸で、下喙は三寸ばかりで鉄針のように黒く光り、上喙は一寸ばかりで尖っていて剣のようである。身体は丸く形は梭子魚に似ているが、頭は小さくて微赤色を帯びている。眼は大きく腹は白い。鱗は極めて細かく骨は黒色。肉は潔白で味は甘淡で膾にすると最もよい。
  とある。
   また「たべもの語辞典」に、
   針魚は、細魚・竹魚・鱵などと書く。古くは「よろず」または「はりを」という。越前でサイヨリ、薩摩で長イワシなどの名がある。サヨリのサは、サワ(多)で、ヨリは寄である。多く寄ってくる魚だからサヨリと名づけたという。古くは「よろづ」とよんでいるのは、よろしという意である。サは直、まっすぐという意にもとれる。まっすぐでよろしき魚というわけである。
  とある。
   サヨリは硬骨魚綱ダツ目サヨリ科に属する海水魚。サヨリの語源は、沢に多く寄り集まるという説と、体が狭くて群集性があるという説とがある。日本各地および樺太、朝鮮半島、台湾に分布する。
   下あごの先の紅色の鮮やかなものほど新鮮である。脂肪は多いが白身の淡白な味で、酸味の料理がとくによくあう。春から秋にかけてが美味。

   さて、川端康成の小説に「針と硝子と霧」がある。針のところを抜粋してみる。
   郵便箱に封筒が投げ入れられた。いつもの様に朝子は直ぐ立って行った。封筒の中の油紙には新しい縫針が五十本ばかり綺麗に並べて刺してあった。彼女は心臓が止まった。
   針は針屋の押売りであった。近日店員をうかがはせますから、御不用ならばその節お返し下さい。と書いてある。
   夫の羽織を縫ひ上げたのは、たしか五日前だけど、針がついてゐないか、よく調べたかしら。あの女が夫の羽織をたたんで、手に針がささったら、ああ、私の嫉妬だと思はれるにきまってゐる。

   美しき鱵の針を火炙りに  大堀 柊花

      鱵(さより)真鱵魚(まさより)喙(くちばし)梭子魚(かます)

      膾(なます)針魚(さより)
淵へ身を投げしごとくに御所桜
勢ひあまりて水漬きたる御所桜
水漬きしは水漬きしままに御所桜
御所の花仰ぎて過ぐる恋ボート
城濠へなだれ咲きして諸葛菜
いくつもの恋の水輪をかいつぶり
春風に人吐きつくす櫓門
慰霊堂までの石段桜散る
石楠花の宝珠へ山気及びけり
永き日や水脈ながながと上り舟
 石南花

    石南花や雲の中なる行者みち  河村 宰秀

   「和漢三才図会」に、
   石南花は和州の葛城・紀州高野および深山の谷中にある。京師の近処にも稀にある。三、四月に淡紅色の花を開き、秋に紅色の細かい子を結ぶ。春に旧葉はまだ落ちず、新葉が生え出て交代する。
  とある。
   また「俳諧歳時記」に、
   山地に自生する常緑潅木、高さ七八尺に及ぶのが常であるが、高山に生えるものは幹が地に蟠屈してゐるといふ。葉は長楕円形革質。梢頭に淡紅色の花を開く。五弁又は七八弁で簇り咲く。
  とある。
   ツツジ科ツツジ属のうちシャクナゲ亜属の総称である。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布するが、ヒマラヤ東部、ネパールから中国の雲南省、四川省に種類が多い。日本には高山帯から亜高山帯に分布するキバナシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、それより低い山地に分布するツクシシャクナゲ、ホソバシャクナゲなどがある。
   シャクナゲの名は室町時代から使われたようで、「下学集」(一四四四)に記載がある。かって、石槌山(愛媛)のハクサンシャクナゲを行者が手折って持ち帰り、畦に挿して豊作を祈る習俗があった。

   さて、随筆に「石楠花」(小島烏水)がある。
   普通平地で見るやうな石楠花でなく、白花石楠花である。白色といふ名を冠らせるくらゐだから白くはあるが、花冠の背には、岩魚の皮膚のやうな、薄紅の曇りが潮し、花柱を取り巻いた五烈した花冠が、十個の雄蕋を抱き合ふやうにして漏斗の鉢のやうに開いてゐる。しかもその花は、一つのこずゑの尖端に、十数個から二十ぐらゐ、鈴生りに群って、波頭のせり上るやうに、噴水のたぎるやうに、をどってゐるところは、一個大湊合の自然の花束とも見られやう、その花盛りの中に、どうかすると、北向きに固く結んだつぼみが見える。

   石楠花のつぼみの数と花の数  大堀 柊花
 石南花(しゃくなげ)和州(やまと)京師(きょうと)蟠屈(ばんくつ)
 潮し(さし)雄蕋(ゆうずい)漏斗(じょうご)大湊合(だいそうごう)
   
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